2011年8月、休暇を利用してイタリアに行ってきました。その感動の余韻が残っているうちに記録して置きたいと思い記事にしました。
▲8月6日(土)
7:00 岡山空港集合
読売旅行のベテランの男性添乗員が同行、21名の団体旅行。
岡山空港から上海浦東空港経由でローマのレオナルド・ダ・ビンチ空港へ向かう。心配した台風もさほどではなかった。上海からローマに向かう飛行機が離陸する時、少し揺れた。そんなことよりそれからが大変。12時間狭い飛行機内で時間をもてあました。窓から下を見るとゴビ砂漠やタクラマカン砂漠が何時間も続いた。ユーラシア大陸の大きさをいやというほど味わった。添乗員さんが事前に中国東方航空はドリンクサービスをあまりしてくれないのでドリンクを買って入った方がよいと言われていたが、サービスはよく結構ひんぱんにドリンクサービスをしてくれた。
飽きるほど飛行機に乗ってようやくローマ空港に着いた。それからローマ市の郊外のホテル(EUR SUITE HOTEL 一応☆☆☆☆)にバスで移動して1泊目。中国系のホテルだった。従業員にも中国系の人が結構多かった。飛行機疲れですぐに眠りにつくことができた。
▲8月7日(日)
そのホテルの朝食は、日本で言うと安いビジネスホテルの無料の洋食という程度の内容だった。野菜類がなかった。それからバスで4時間高速道路を走ってピサの斜塔で有名なドォーモ広場へ。人と人でごった返していた。それも多国籍。そのいろいろな国の人がほとんど同じことをして写真を取っていた。ピサの斜塔を支えるポーズである。黒人のもの売りがアフリカに近い国であることを教えてくれた。
それにしてもこの日は観光はピサだけで、ローマのホテルからピサまで約4時間バスで移動。そして観光が終わると、また4時間かけてヴェネツィアへ移動する大移動日であった。
やっとヴェネツィアへ着いたが、そこは普通の都市と違っていた。島のようになっていて、バスでそのまま入ることはできない。ヴェネツィアという都市は、中世から歴史の進行をストップして、そのまま残した街という感じである。ホテルは、そういう古い場所ではなく、普通の市街地にあるフランス風のホテル(ALL SEASONS VENEZIA MARGHERA HOTEL)でに泊まった。
往復で8時間バスに乗ってわかったイタリアの交通事情。
1.走っている車はいわゆるコンパクトカーが多い。2.昼間でもライトをつけて走る車が多い。3.その割りに車線変更でウィンカーを出さない車が多い。4.ガソリンが日本より少し高い。
▲8月8日(月)
ホテルの朝食はやはり野菜なし。しかしくだものが少々あった。設備はよかった。ホテルからバスで港へ。港からは小型船(20~30人乗り)でヴェネツィアへ。その小型船から見えてきた街は本当に歴史がストップしたように見えた。今まで見たことのない光景でそれだけで感動して写真を取り続けた。ハウステンポスのようだと誰かが言ったが規模がその何十倍。そして港に着いて次はゴンドラへ。しかしすぐに乗れなかった。事前に予約していてもかなり待たされた。予約なしで来たら何時間待たされるのだろうか、と思った。しかし、ゴンドラに乗ったら、その不満も吹き飛んだ。眺めがよく、カンツォーネのサービスもあり、気分は最高であった。定員が6人ぐらいで長さは11m、幅は2人座るのがやっとぐらいの小船である。それを上手に櫂で操っていた。
ゴンドラの船頭について。
船頭になるには試験にパスしなければならないそうで、希望してもなかなかなれないそうである。特に男性ばかりのようで女性が初めて船頭になれたとか、地元の人間でないとなれないとか、なんだか「既得権益」のようなものを感じた。イタリアは労働者の権利を守る国なのだろうか、いろいろ考えた。
ゴンドラを降りて、今度はサンマルコ広場へ行った。ここがまたすばらしい。
この広場はアイビースクエアを巨大にしたような造りで、周りを建物に囲まれていて、そこには飲食店や宝飾店などが営業していた。その中のあるレストランが生のJAZZ演奏をしていた。そのひとつの面には教会もあった。カトリック色が強く、アーチ風の壁面には聖書に出てくるような場面が鮮やかに描かれていた。それにしても人が多かった。スリに気をつけながら国際的な広場の人ごみをと落ち抜け、路地裏のレストランでイカ墨パスタを食べた。
ひとつ記しておかなければならないことがある。それはこの広場からわれわれのガイドをしてくれたアントニオさんである。彼は、最初、「怖がらないでもっと近くに来てください。マフィアではありません。」ということばから始まり、みんなを笑わせながら見事にガイドしてくれた。写真のように見るからに怪しい人に見えるが、彼は、日本語が上手だった。しかも英語でも中国語でもガイドをするということで、読売旅行がアントニオさんを指名してくれたそうである。
もうひとつ日本との文化の違い。イタリア人はタトゥーをしている人が多かった。日本人のようには抵抗感がないようだ。中には漢字の刺青もあった。イタリアでは使わない文字なのでかっこよく見えるのだろう。
それからイタリアには日本のようなサービス精神はないようである。スーパーマーケットでは、日曜日に休むし、閉店時間になるとお客が並んでいてもレジ業務をやめるそうである。高速道路も日曜日はトラックが走っていなかった。キリスト教の国だけに日曜日は休む習慣なのだろう。
ヴェネツィアを後にして、ボローニャの田園地帯の丘陵を見ながら、バスでフィレンツェへ向けて4時間移動。 そしてフィレンツェに到着。添乗員の話ではフィレンツェの旧市街のホテルは団体には向かないとのこと。
▲8月9日(火)
フィレンツエはやはりドゥオモ (サンタ・マリア・デル・フォーレ大聖堂)であろう。そばに行くとその巨大さに圧倒される。そしてウフィツィ美術館へ。圧巻はヴィーナスの誕生(1485年頃、サンドロ・ボッティチェッリ)。美術の教科書で見た覚えがある。美術館からアルノ川にかかる二層橋は写真スポットだった。その後、サンジャミニャーノへ。これこそ中世に時間が止まったまま今に残ったような街であった。富の象徴としての塔がいくつか残っていた。しかし残念だったのは滞在時間が短かったこと。秀栄らも不満そうであった。バスの待ち合わせ場所の近くにスーパーマーケットがあり、そこで無理やりワインオープナーを土産代わりに買ってしまった。そしてローマへ。
▲8月10日(水)
今日はカプリ島ツアーの日。ナポリまで3時間弱。そしてナポリ港から船で約1時間という行程。ナポリは治安が悪く、ごみ問題が大変だそうである。旅行会社の社内マニュアルでは「ナポリでは観光客をバスから降ろすな」。囲まれてごっそり持っていかれるそうである。スパゲッティナポリターナは日本人が作った料理で地元にはそれはないそうである。
カプリ島へ向かう船は大きく揺れた。周囲では何人か吐いていた。船の揺れが激しくなったので乗組員がスーパーのレジ袋のようなものを必要な人に配り始めた。この揺れだと青の洞門は無理かなと思った。案の定、波が荒く中止。残念。栄美子も残念がっていた。かわりにカプリ島島内観光。道幅4mぐらいなのに小型バスがそれほどスピードを緩めずすれ違う。あと何cmぐらいでこするという世界。断崖絶壁を掘りぬいて道を作っているところもあり抜群の絶景であった。海の水は青くカプリ島頂上から見ても透き通っていた。青の洞門を造形する環境が整っている。船の通った白い航跡が青いキャンパスに絵を描いたような感じですばらしい光景であった。
頂上に向かうバスの車中で添乗員の藤井さんが教えてくれた。「ナポリの光の部分は陽気で明るい。影の部分はとんでもない状況、マフィア、犯罪、ごみ問題。」確かにナポリの路地裏はごみが結構散らかっていた。港の付近は警官が多かった。カプリ島行きの船の中で向かいの席に座った老婦人に息子風の中年男性が船が揺れたので、「Are you suffering?」と訊いていた。婦人は大丈夫という風だった。
婦人が小さい国旗を持っていたので、家内に背中を押されながら、「What country?」と訊いた。
Lebanonだった。そういえばイタリアからそう遠くない。訊いてみるものである。
▲8月11日(木)
今日はローマ一日観光。最初はヴァチカン市国サンピエトロ大聖堂へ。団体で予約していたにもかかわらず長蛇の列。理由はセキュリティチェック。約50分ぐらい待って中へ入る。とにかく規模が大きい。ミケランジェロ作の像をはじめすべて写真OK。約500年前、日本で言えば室町時代、120年かけて作った寺院。次のトレビの泉へ。広場には人がいっぱい。日本で言えば京都のような人。ローマに住んでいる人はバカンスで郊外に出かけており、市内の車は少なかった。しかし観光名所は人、人、人。家内も人を掻き分け噴水のところへ行き、コインを投げた。ビデオに撮る。財布に気をつけながらコロッセオへ。今回の旅行で一番見たかったもの。歴史を感じさせるこわれかた。残念ながら時間の関係で中へ入ることはできなかった。息子らは入って中の写真を撮ってくれていたのが救いだった。5万人が格闘を見たそうである。約2000年前、人と人、人と動物の戦いの見世物が行われた。どちらかが死ぬまでやる、という残酷なもの。皇帝が見ていて勝ち方が悪いと勝者も殺されるということ。群集心理はやはり行きつくところまでいものである。その点に栄枯盛衰を感じさせる。
ローマ市内をいろいろ観光して回ったが町全体が観光地という感じでちょっとした街角、裏通りがすべて絵になる。ヴェネツィアにしてもフィレンツェにしても同様である。イタリアは観光だけで食べていけるのではと思うぐらいである。最後にスペイン広場へ。思ったより狭い。階段を登って上から下を見ていると見知らぬ男が寄ってきて糸で何かをしようとした。結局だましであった。幸い私は被害にあわなかったが同じ団体で3人がやられた。証拠はないが、どうも現地ガイドがあまりその注意をしなかったのが気になる。今回、ローマの松をいたるところで見た。
それでも総じて見るとイタリアはすばらしい。カプリ島、美しい青い海、ベスビオス火山、ポンペイなど、もう一度行く価値はある。